
みかん畑が広がる玉名市天水町の高台に佇む、木造2階建ての住まい。
南北に抜ける素晴らしい眺望と、北側へ下る傾斜地形をそのまま内部へと引き込んだ、ダイナミックなスキップフロアの構成です。
住まいの中心にそびえるのは、この土地で採取した赤土を使った左官仕上げのシンボル壁。
この壁を中心に、空間が螺旋状に緩やかにつながります。
特徴的な外観の格子(ルーバー)は、暴風対策や防犯、プライバシーを守りつつ、上部へ行くほど密度が荒くなるグラデーション設計。
光と風を中に取り込みながら、夜には家全体が街を照らす「灯台」のような美しい道標へと変わります。
自然の恵みを素直に受け入れ、環境に寄り添う、豊かな暮らしの舞台が完成しました。
敷地面積:475.91㎡(約144坪)
延床面積: 123.67㎡(約38坪)
主要構造:木造2階建
みかんの産地として名高い、玉名市天水町。
その豊かなみかん山を切り開いた高台に、この家は建ちます。
北側に緩やかに下る傾斜地からは広大な田園と連なる山々が、南側には有明海や遠く普賢岳を望む、圧倒的な眺望に恵まれた土地です。
私たちが目指したのは、この雄大な自然の流れに逆らわず、素直に受け入れて暮らせる空間でした。
外観は、玉名の歴史ある蔵や商家の風情をまといながらも、地域に点在する「みかん畑の小屋」のように風景にそっと溶け込みます。
しかし夜を迎えると表情は一変。
真っ暗な闇が広がる高台の上で、家全体が優しく光を放つ「灯篭」となり、漆黒の海を照らす「灯台」のように家族やゲストを温かく迎え入れる道標となります。
内部に足を踏み入れると、この土地の起伏をそのまま引き込んだかのような半階ずつ連続するスキップフロアが広がります。
空間の中心にそびえ立つのは、この敷地から採取した赤土で仕上げた荒々しくも美しい左官のシンボル壁。
この壁を中心に、各スペースが螺旋(らせん)状に心地よくつながり、どこにいても家族の気配を感じられます。
東と西の壁を閉じ、南北に大開口を設けることで、心地よい風と光が住まいを真っ直ぐに吹き抜けます。
周囲の視線や暴風から家族を守るリズミカルな格子(ルーバー)は、防犯やプライバシー、階層に合わせて密度をグラデーション状に変化させました。
展望浴室から望むみかん山の風景、可変性を持たせた1階のプレイルーム。
自然をいっぱいに体感しながら、変化していくライフスタイルと共に、家族がのびのびと育っていく住まいです。
玉名市天水町の高台、南北に素晴らしい眺望が抜ける敷地において、「自然の環境を素直に受け入れる建築」を形にしました。
北側の隣地へと下る傾斜地形に呼応するように、内部空間は半階ずつ連続するスキップフロアの構成。
空間の中心には、この土地の赤土をそのまま使用した左官仕上げの「赤土壁」をシンボルとして配置しました。
この壁を中心に各スペースが螺旋状につながることで、用途を固定しない柔軟性と、家族がどこにいても互いを意識できる適度な距離感を生み出しています。
また、東西の壁を閉じ、南北にダイナミックな開口を配することで、土地に流れる「風の道」を遮らない明確な通風・採光ルートを確保しました。
南面に施された木製ルーバーは、台風・暴風対策としての強度を持ちながら、上部へ向かうほど密度が粗くなるグラデーション状に設計されています。
下部は防犯とプライバシー(視線カット)を担保し、上部(2階・ロフト)へ行くほど外へと開け、豊かな光を取り込むデザインです。
見る角度によって表情を変えるこの格子は、圧迫感を与えないリズミカルなファサードを構成しています。
昼は周囲のみかん畑に点在する小屋のように環境へ溶け込み、夜は漆黒の闇に浮かぶ灯台のように、地域を優しく照らす道標となる。
建築が自己主張するのではなく、土地の記憶や周辺環境、将来の周辺環境の変化までを見据えて配置の角度を決定した、地域と共生する住宅です。