H-court(in八代)/ House1Y
敷地面積:223.64u(約68坪)
申請延床面積:131.03u(約40坪)
施工延床面積:163.88u(約50坪)
主要構造:木造2階建て
竣工時期:H19年7月
受賞歴:くまもとアートポリス推進賞
建設地は閑静な住宅地で袋小路の土地です。
北、東、南に2階建て住宅に囲まれた周辺環境は、日当たりの良いとは言えない土地です。
そんな建設地での計画は、家のプランの前に土地の再構築するため、光と風を引き込む屋外スペースの配置計画からスタートしました。
そして完成した家は、開放・光・風を感じられる住まい空間を可能とした3つの屋外スペースをもつコートハウスです。
△ ファサード
西側の外観です。夏の西日を避け、海風を引き込む形状となっています。
△ 南西側外観
機能、構造、デザインを一体化した外壁傾斜角度
△ 南西側外観
△ アプローチ
アプローチに沿った家庭菜園
△ オープンコート
オープンコートは、西日を避けながら風を引き込むスペースです。またこの家の縁側空間としての役割もあり、靴を脱がずお話したりお茶したりできるスペースです。
△ 1F玄関
玄関から見える正面の庭は、光を取り込み風が抜けるスペース。また玄関、浴室、便所に面し、広がりに貢献。
△ 1F廊下
廊下左はプライベートコートに面し、右は収納列です。生活感を見せない空間ながらも家事動線を考慮したスペースです。
△ 1FLDKから廊下を望む
手前のストリップ階段と廊下の先に箱階段があり、上下階が回遊できる配置です。
△ 1Fキッチンより望む
住空間を一望するキッチン。
△ 1FLDKよりプライベートコート・和室を望む
年間の太陽の軌道を考慮し導き出したプライベートコートの形状と広さ。
この土地の弱点である南面が、どの部屋にも陽射しが差し込み明るい住空間へ・・・。
△ 1F大開口より空を望む
△ 1FLDK
吹き抜けが繋ぐ1、2階一体の大空間。
△ 1FLDK
△ 1Fキッチンの奥はパントリー
キッチンの奥にパントリーを設けています。
△ 1FLDK
△ 1Fキッチン
△ 1FLDK
△ 1F〜2F第一ストリップ階段よりLDK吹抜を望む
階段から見下ろした薪ストーブのあるリビングです。LDKには床暖房を設置しております。冬は薪ストーブだけでも十分この吹抜け空間全体を暖めます。
△ 2Fフリースペース(第二のリビング)
2階フリールームは将来の生活スタイルの変化に対応できるスペースです。化粧梁現し部分は、将来床を増すことのできるよう計画段階から構造計算により大きさを決定しています。
△ 2Fフリースペースより大開口、ルーフテラスを望む
△ 2Fフリースペースより大開口、ルーフテラスを望む
2階フリールームから内外一体の住空間を望む。大開口は隣家のどうしの狭間に合わせて設置しています。その先には田園風景、桜並木、山並みが眺望できます。
△ 2Fフリースペース(第二のリビング)
△ 2Fフリースペースの吹抜
△ 2Fフリースペースよりルーフテラス、その先に寝室踊り場を望む
2階廊下から先のルーフテラスを渡って向かいの棟へ向かいます。一階廊下と2階ルーフテラスは2つの階段で回遊できるようになっています。
△ 2Fルーフテラス
8帖程度あるルーフテラスは、クリア屋根を設置しています。
△ 2Fルーフテラスよりプライベートコートを見下ろす
第二のコートであるプライベートコートは、12帖程度の広さがあり光、風を操作するスペースです。
△ 1FプライベートコートよりLDKを望む
△ 2F主寝室
主寝室は、眠りへと引き込む色合いになっています。
△ 2F主寝室
△ 2F主寝室
2階にある主寝室は、プライベート確保のため周辺の隣家の窓と合わせないよう配置されています。
△ 2F主寝室出窓
△ 1F〜2F第二階段
△ 1F和室
和室は、客間として使用するだけでなく、コートを通してリビングの延長の畳の間でもあります。
△ 1F和室よりプライベートコート→L→オープンコートを望む
和室からプライベートコート、リビング、オープンコートを望む。この建物全体の奥行を認識できる場所です。奥行の深さを自然に感じるため、植栽等で視線を誘導しています。
△ 1F和室
△ 1F洗面浴室
浴室は一日の疲れを癒す場として、雰囲気と広がりを重視して計画しました。
お施主さまの相談の連絡で、「最終2社の地場ビルダーに絞ったのだがなかなか我々の希望が伝わらずこのまま進めていいものか悩んでる」とのことでした。
そこで私からの提案で「お施主様のご希望を十分に含めたプランを一度計画してはいかがでしょうか?」からスタートしました。
お施主さまの一番の要望は、「プライベートを確保しながらも開放的で光と風を感じられる明るい住処」がほしいとのこと。
そんな土地に建つ家は、プライベートを確保されながら光・風・広がりをもつ空間にするため、3つのコートスペースの位置・ボリュームを先に考え、この土地のデメリットを再構築することからスタートしました。
そのコートは、それぞれの役割があります。
例えば、オープンコートは風の入口や親しい人達と集うえる縁側的な場、プライベートコートは日照やプライベート・広がりの確保、バスコートは風の出口や視線の抜けによる広がりの確保などの役割をもたせています。
また広がりは「空間的広がり」と「視覚的広がり」から計画しました。
横の広がりである2つのコートや2つの庭、ルーフテラスと、縦の広がりである吹抜けなどにより、床面積以上の広がりができ、その中で多目的空間利用度を向上させました。
さらに周辺の住宅密集地にある狭間から田園風景・桜並木・山並みが見えることから、その風景を内部空間に引込むため、適切な開口の位置、大きさを設け、更なる視線の抜けによる広がりを確保しています。
その他夏の西日対策として、西側外壁には開口部を最小限に抑えています。
又外壁のせり出しにより空気層が増し断熱効果を向上させています。
まずお施主さまのご希望を十分含めたプランからスタートしました。もちろん予算というものがありますので、絶対必要なもの、そうでないものなどメリハリをつけながらプランを完成させました。
その過程は、お施主さまも納得しながら変更し、また新たな発見もあったりと出会った時のお気持ちとは全然違う家造りの楽しさを感じていらっしゃると思います。
次は施工会社への見積りで、2社の合い見積もりをとり最終施工業者を決定しました。
太陽の陽射しと風の流れを計画の段階意識した3つのコートが、完成後よく効果が出ており安心しました。
7月のことですが家の中はどこにいても明るく、涼しい住環境でついつい居眠りしてしまいました。
もちろん引渡し前ですが・・・。